鎌田敏夫氏脚本のテレビドラマのタイトルです。
1994年にフジテレビで夜10時から放映したこのドラマは、
10週にわたり放映され、平均視聴率22.2%。
この頃、僕はテレビがいまより好きでした。
山口智子、松下由樹、柳場敏郎という出演者のラインナップは、
今や死語のトレンディドラマというジャンルのもの。
仕事が充実し始め、業界を理解し組織でも中心になりかける29歳の
とても微妙な心境を友情や恋愛や仕事のシーンを通じて描いているなと思いながら、
22歳の僕は冷えた手をガスストーブで温めながら、観ていました。
主題歌の ”All I want for Christmas Is You” に心踊らされ、
カッコイイ出演者たちのやりとりをみながら、
「このような世界もあるのかな。」と。
実際に29歳になると、クリスマスを意識する余裕もなく、
ただひたすら目の前のことを処理することで精一杯で、
イブの夜は、デニーズでコーヒーをお替りしながら、稟議起案していました。
ふと7年前に放映していたテレビドラマを思い出すのでした。
イヤホンで ”All I want for Christmas Is You” を聴き、
地味な町工場への融資を計画しながら、
「あのような世界はないな。」と。
クリスマスはイエスキリストの誕生を祝うミサで、
宗教や宗派の影響で、世界中でその受け止められ方や祝い方は、千差万別です。
キリスト教の国アメリカでは一般に家族と家庭料理で過ごし、
25日は、僕たちが子供だった頃の元旦のように、マチが静かな一日となります。
プレゼントもサンタクロースも様々で、
調べてみると世界各国でいろいろなサンタクロースがいることがわかります。
僕にとってのサンタクロースは、「さむがりやのサンタ」(レイモンド・ブリックス)。
物心ついたときから、この歳になるまで、毎年この季節に欠かさず読む絵本です。
寒さが苦手で、煙突も嫌い。少し偏屈な感じがするけれど、優しい。
人間味あふれるサンタが描かれた絵本を、寒いけれど温かい一日にむけて読むのです。
レイモンド・ブリックスの父親は牛乳配達だったそうです。
クリスマスの日も牛乳を配達していたそうで、
幼心に親の仕事や苦労を理解していた幼少時代だったのかもしれません。
さむがりやのサンタは、牛乳配達の父親がモデルになったのかもしれません。
意外と子供は、親の事情をわかっているのでしょうか。
43歳になったいまも少しも変わらず、必死に目の前のことをこなす毎日です。
息子たちは傍らでアドベントカレンダーを開きながら、
僕の仕事の邪魔しないように、サンタクロースをカウントダウンしています。
仕事が終わらず切羽詰っている、親の事情をわかっているのでしょう。
29歳のクリスマスも43歳のクリスマスも、
コードレスフォンが携帯電話に変わっても、
クリスマスカードがメールになっても、
そのときどきの自分のおかれた立場や環境、考え方が変わっても、
一瞬一瞬を大切にして、数々の縁を大切にして
目の前にあることを愚直にこなすことに何ら変わりはありません。
毎年変わらず読む絵本のように。
日頃お世話になっている方々に、この場をかりて絵本の最後のセリフを。
イブの夜「さむがりやのサンタ」はプレゼントの「配達」を終え読者に語りかけます。
「ま、おまえさんも、たのしいクリスマスをむかえるこったね。」
Merry Christmas !